摂食嚥下障害について

一人ひとりに適した食事を

高齢者はさまざまな原因により食べることが困難になります。


身体機能の衰え

  • 噛む力や飲み込む力、
    消化機能の衰え
  • 運動量が減るためお腹が空かなくなる
  • 味の味覚が鈍くなる、
    喉の渇きの感覚が鈍くなる
  • 食べる動作が遅く時間がかかる、
    疲れてしまい食べきれない

噛んだり飲み込んだりする力に合わせた適切な料理の提供が必要です。例えば、まとまりのある料理(とろみがけをする、ペースト状にする)や、ゼリー等の食べやすくて飲み込みやすいものにしましょう。また、少量でカロリーがとれる食品等を利用して栄養が不足しないようにしましょう。

身体機能の衰え

身体機能の衰え

食べる環境の問題

  • 姿勢が悪く食べづらい
  • 入れ歯が合わない
  • 家族と異なる食事に対する
    疎外感

姿勢が悪いと飲み込みがうまくできません。食べる時の姿勢を気をつければ誤嚥ごえんなどの危険性をある程度回避できます。食事だけでなく、食べる環境を整えることも大切です。

食べる環境の問題

食べる環境の問題

認知症による問題

  • 食べ物だとわからない、
    どういう風に食べたら
    (飲み込んだら)
    いいのかわからない
  • 箸がなんなのか、
    どう使うかがわからない
  • 偏食

認知機能が落ちてくると、食べ物であるということや箸などの使い方がわからなくなったりします。目の前で料理を食べる・箸を使う様子を見せ、認識してもらうように働きかけるといいでしょう。また、食事にむらがある場合もあります。無理に1日3食、決まった時間に食べなくてもよいので、3日間で栄養バランスが取れるように考えれば充分です。それでも不足してしまう場合は、栄養食品を利用して補うのも一手です。

目の前で料理を食べる・箸を使う様子を見せ、認識してもらう

認知症による問題

認知症による問題

これまでの食生活を尊重した気配りを

高齢者は長年にわたり親しんできた味や食習慣があります。その嗜好を尊重しつつ、個人の状態に合わせた食べやすい調理が必要です。さらには、温かいコミュニケーションや食べる環境への気配りも重要になります。

※直近で3㎏以上の体重減少があるときは注意が必要です。

医療・介護関係者とも相談を

参考:『認知症と食べる障害』 Jacqueline Kindell著 金子芳洋訳(医歯薬出版株式会社)



飲み込みのしくみ ~嚥下障害と誤嚥~

嚥下とは?

食べ物を飲み込んで胃に送り込むことをいいます。

飲み込む仕組み
  • 食べ物を見て認識
    食べ物を見て認識すると、唾液や胃液が分泌され、食べるための体の準備が始まる。
  • 食べ物は口に入ると飲み込みやすい形にまとめられる
    口に入った食べ物は、噛んで唾液と混ぜ合わされ、飲み込みやすい形にまとめられる。
  • まとめられた食べ物は喉の奥まで送られる
    まとめられた食べ物のかたまりが、喉の奥まで送られる。
  • 食堂を通って胃へ送られる
    脳に信号が送られ、反射的に食べ物のかたまりがゴックンと飲み込まれる。このとき食べ物の逆流や気管への入り込みを防ぐ仕組みが働き、食道を通って胃へ送られる。

この過程に問題があって嚥下障害が起きます嚥下障害のリスクはいくつもある



誤嚥とは?

食べた物が気管に入ってしまうことを「誤嚥」といい、窒息や肺炎を招くこともあります。
次の状態のときは気をつけましょう。
誤嚥を起こすケースがある状態


誤嚥により食べ物と共に細菌が気管に入り込むことで発生するのが誤嚥性肺炎です

『誤嚥性肺炎』予防のポイント

(1)飲食物の誤嚥を防ぐ
とろみ調整食品商品ページへやわらか食品商品ページへなどの利用

(2)口腔内を清潔にしておく
口腔ケアグッズ商品ページへの利用

(3)胃から食道への逆流を防ぐため、食後2時間ほどは
起き上がった姿勢で過ごす

(4)肺炎にかかりにくい、かかっても治りやすい体力を
つけておく





参考:『飲み込みにくい方へ』 向井美恵監修(ヘルシーフード)
『改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事』 藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)





飲み込みやすくするためのポイント

次のような食感の食べ物は、むせたり、喉につまったりする可能性があります。
飲み込みやすくなるように工夫をしましょう!


具体例

  • パサパサな食べ物
  • ボロボロになる食べ物
  • サラサラな飲み物
  • ペラペラな食べ物

※粘り気の強い“もち”や、噛み切りにくい“いか”“たこ”などにも注意が必要です。




飲み込みやすくするポイント

  • 1.適度な水分を含ませる

    1.適度な水分を含ませる
    ぱさつきを防ぐために、適度な水分が必要。
  • 2.ツルンとさせる

    2.ツルンとさせる
    ゼラチンなどで固めると、口の中でばらけることなく、のどごしがよい。
  • 2.油脂やつなぎでまとめる

    2.油脂やつなぎでまとめる
    マヨネーズなどの油性のソースで食材をまとめる。卵や小麦粉などのつなぎを、加熱前のひき肉に混ぜてまとまりをよくする。
  • 4.とろみをつけてばらけるのを防ぐ

    4.とろみをつけてばらけるのを防ぐ
    食材にあん風のとろみをつけて、口の中でばらけるのを防ぐ。のどごしもよくなる。
  • 5.調理方法を工夫する

    5.調理方法を工夫する
    「つぶす」「する」など素材の形状を変えたり、「煮込む」「蒸す」などやわらかく調理すると飲み込みやすくなる。
  • 6.サラサラした液体にはとろみをつける

    6.サラサラした液体にはとろみをつける
    お茶などの液体にはとろみをつけて、むせを防ぐ。とろみ調整食品とろみ調整食品の商品ページへが手軽でたいへん便利です。



参考:『改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事』 藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)
『「食べる」介護がまるごとわかる本』 菊池武著(メディカ出版)





自分に合った食品を選ぼう!


能力に応じた食べ物を

噛む力、飲み込む力が低下しても、やわらかさや食べ物の形態を工夫すれば、食事を楽しむことができます。一人ひとりの能力に応じて、食べやすいものを選びましょう。



食品選びの参考に・・・

自分の状態に適した食品は、日本介護食品協議会が制定する食品の「かたさ」や「粘度」に応じた4つの区分を参考にすると選びやすいです。

ユニバーサルデザインフード区分表
ユニバーサルデザインフード区分表

ユニバーサルデザインフード その他一般食品のかたさの目安

ヘルシーネットワークの通販サイトヘルシーネットワークへでは、各区分ややわらかさの段階に応じた商品を掲載しています!そちらも参考にしてください。


おかゆ作りの工夫

「おかゆ」の基本の作り方と、電子レンジ調理でできる簡単な作り方をご紹介します。


おかゆ(全粥) 基本の作り方

≪材料≫

ごはん 100g
水   200ml

≪作り方≫

(1)鍋にごはんと水を入れて火にかけ、ふつふつしてきたら弱火で約5分煮る。
(2)火を止め、蓋をして、約10 分間蒸らす。
  ※冷えたごはんは温めてから使うと調理し易くなります。
おかゆの硬さは水の分量や火加減、炊く時間によって変わります。
水加減はお好みの硬さになるよう調整してください。
おかゆはまとめて作って冷凍し、必要な分だけ解凍すると便利ですよ!

おかゆの水加減〈目安〉(ごはんと水の割合)

おかゆの水加減

電子レンジで少量調理

≪材料≫

ごはん 50g
水  100ml

≪作り方≫

(1)大きめの耐熱容器にごはんと水を入れ、端を少し開けてラップをする。
(2)レンジ(500W)で約5分間加熱する。
(3)取り出して、ラップのまま約10分間蒸らす。
  ※加熱時間は電子レンジの機種により異なります。状態を確認しながらご調整ください。

【ミキサー粥】米粒が気になる方に!

おかゆをミキサーにかけると、米粒の無いなめらかな「ミキサー粥」が作れます。
七分粥程度の硬さのおかゆを使うと、程よい粘りになりますよ。
とろみをつける際は、 とろみ調整食品や固形化補助食品、水溶き片栗粉などでご調整ください。

商品を活用してもっと気軽に!

ミキサー粥の「べたついて飲み込みづらい」「まとまりがなく食べづらい」「後片付けが大変」などのお悩みに応える商品をご紹介します!

なめらかおかゆ
快食応援団 なめらかおかゆ快食応援団なめらかおかゆの商品ページへ
温めるだけで食べられる、ペースト状のなめらかおかゆ。粘つきを抑えた、飲み込みやすい食感。

☆その他のやわらかい食品やわらかい食品の商品一覧ページへ

ホット&ソフトプラス
ホット&ソフトプラスホット&ソフトプラスの商品ページへ
全粥と一緒にミキサーにかけると、ゼリー状になる固形化補助食品。
ミキサーや器にこびりつかず後片付けが簡単。

☆その他の固形化補助食品固形化補助食品の一覧ページへ


やわらか食調理の基礎知識

食事をより美味しくする雰囲気作りのポイントや、食材を食べやすくする工夫について、また、各食材の具体的な切り方や調理方法など、やわらか食を調理する際の基礎知識についてご紹介します。


1. 食事をより美味しくするポイント


旬の食材を取り入れる

旬の食材の味・香りは季節感を演出し、食事にメリハリを与える。


だしは一からとる

かつお節や昆布からとるだしは、天然の旨味が凝縮されていて、とても美味しい!だしの風味は、減塩にも繋がる。
昆布やかつお節からのだしは美味しくて減塩にも繋がる

食材の持ち味を生かす

食材の持つ酸味・辛味・香味は料理のアクセントとなり、食欲を刺激。味にメリハリを出せるため減塩にも繋がる。
酸味:柑橘類
辛味:大根、生姜
香味:しそ、みょうが、にんにく 等
柑橘類・生姜・しそは味にメリハリをさせて減塩にも繋がる

食べなれたものや好物を取り入れる

懐かしい味や好物は、食べる意欲や楽しみへと繋がる。

楽しい食事の雰囲気作り

食器の種類
見た目からも食欲がわくよう、食器の大きさや深さ、色合い、形等にも配慮を。
盛付(食材の大きさ・形、彩り)
食事中に潰しながら食べられる料理は形を残したまま盛付けることで、どんな料理かが分かり、食事を楽しむことができる。彩りにも気を配り、見た目の美味しさをアップ !
その他(明るさ、装飾等)
日中は自然光を取り入れて食卓を明るくする。華やかなランチョンマットの使用、季節の花(微香のもの)を飾る、等も気持ちが明るくなるポイント。


2. 食べやすくする工夫


切り方を工夫



隠し包丁/蛇腹切り:
たくあんやリんご等、硬いものの最初のひと噛み、ふた噛みを助けてくれる。
蛇腹切り
繊維を断つ:
野菜等、繊維がどのように走っているのかを考え、その繊維を斷つように切る。
繊維を断つ


大きさを工夫

細かくなっているよりも、ある程度の厚みや大きさ(表面積)がある方が噛みやすい。
※但し、やわらかく調理してあることを前提とする。
みじん切りは誤嚥やむせの原因になるかもしれません

かたさを工夫

加熱調理:「煮る」「蒸す」等の加熱調理で時間をかけてやわらかく仕上げる。
※揚げ物の場合、とろみのあるあんやソースをかける、または煮ることでやわらかくなる。
揚げ物はとろみのあるあんやソースでやわらかくなる

3. 各食材の具体的な方法




麺類


すすらないよう、3〜5cmの長さに切る。つゆにとろみをつけると誤嚥防止に。
麺は3~5cmの長さに切る


魚介類

加熱によって身がしまり、食べにくくなるものがあるため、調理方法を工夫する。

焼き魚

焼き過ぎはもちろん、調味によっても身がしまってかたくなる。焼く直前に塩をふる、調味液には漬けず、焼きながら塗る等、調味方法にもひと工夫を。
アルミホイルの包み焼きにすると蒸されてしっとりやわらかに仕上がる。
とろみのついたあんをかけると、より食べやすくなる。
焼き魚

煮 魚

多めの煮汁で調理し、盛付も煮汁を多めにすると身をしっとりとさせる。
煮魚



刺 身

噛み切りにくい食材には切り目を入れる。
イ カ:横に走る繊維に沿って皮側に切り目を入れ、90度回して細切りにする。
タ コ:削ぎ切りにしてから、縁に切り込みを入れる。
白身魚:薄い斜め削ぎ切りにする。
食材に切れ目を入れて噛み切りやすく




肉 類



厚みのある肉


筋を切る
赤身と脂身の間の筋を断ち切るよう、あらかじめ包丁で数箇所切り目を入れ、かたくなるのを防ぐ。鶏肉の場合は筋を取り除く。 皮も除くとより噛みやすくなる。
厚みのある肉は筋を切る
切り目を入れる
筋を切った肉の表面に切り目を入れることでさらに噛み切りやすくなる。
厚みのある肉は切り目を入れる


たたく
包丁の背や、肉たたき器でたたき、やわらかくする。
厚みのある肉はたたく
薄切りにする
焼き上がりに繊維を断ち切るよう3~5mm厚の斜め切りにする。
厚みのある肉は薄切りにする


薄切り肉

巻いたりヒダを作ってから調理すると厚みが出て噛み切りやすくなる。
薄切り肉は巻いたりヒダを作ってから

ひき肉

すり鉢等で二度挽きするとバラつきを防ぎ、食べやすくなる。




野菜


カットサイズは5~8mm角、5~8mm厚を基本とする。
野菜は5~8mm角・5~8mm厚に


葉もの


茎・葉脈は刃先でつつくようにして、切り込みを入れる。 葉は端から巻いて厚みをもたせる(かたいものはやわらかく茄でてから巻く)。
葉ものは切り込みを入れて巻く
切る場合、縦に走る繊維を 断ち切るように切る。
葉ものは細い茎を切りおとす


根 菜

隠し包丁を入れる。
根菜は隠し包丁を入れる

皮がかたいもの・噛み切りにくいもの

厚めに皮をむく、湯むきをする。
皮がかたいもの・噛み切りにくいものは厚めに皮をむく、湯むきをする。

繊維の多いもの

繊維を断ち切るように切る。
繊維の多いものは繊維を断ち切るように切る

参考:絵で見てわかるかみやすい飲み込みやすい食事のくふう商品ページへ(女子栄養大学出版部)




とろみ調整食品

とろみ調整食品の必要性

なぜとろみをつけるの?

飲み込む機能が低下した方はお茶やみそ汁のような液体を上手に飲めなくなります。液体はのどを流れるスピードが速く、誤って気道に入り込みやすくなり、その結果むせてしまいます。液体にとろみをつけることで口の中でまとまりやすくなり、のどを流れるスピードがゆるやかになるため、「むせ」を防ぐことができます。

とろみ調整食品の使い方

  • 飲み物や液状の食品にとろみ調整食品を入れすぐにかき混ぜる
    飲み物や液状の食品に、とろみ調整食品を入れ、すぐにかき混ぜる。
  • 溶かしてから約2〜3分、とろみの状態が安定するまで待つ
    溶かしてから約2〜3分、とろみの状態が安定するまで待つ。
  • とろみの状態や温度を確認する
    とろみの状態や温度を確認する。
  • スプーンでかきませながらとろみ調整食品を入れると上手にとろみがつきますよ

※食品の種類や温度によってとろみの程度に差が生じる場合があります。

【動画】基本の使い方(トロミパワースマイルトロミパワースマイルの商品ページへ使用)

とろみがつきにくいときの対処法はこちら

ダマができないようにとろみをつけるコツ

  • スプーンを左右に往復させ、とろみ調整食品を散らすようにかき混ぜる
    スプーンを左右に往復させ、とろみ調整食品を散らすようにかき混ぜる。
  • 先にとろみ調整食品を入れて後から飲み物を勢いよく注ぐ
    乾いたコップに先にとろみ調整食品を入れておき、後から飲み物を勢いよく注ぐ。
  • スプーンの代わりに小型の泡立て器やフォークを使って混ぜる
    スプーンの代わりに小型の泡立て器やフォークを使って混ぜる。

いずれの場合も、しっかりとろみがつくまで30秒は混ぜてください。

使用する前に専門家に相談を

食べる方によって適切なとろみの強さが異なります。また、とろみを強くつけすぎたものを食べると、のどに詰まる恐れがありますので、専門の医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士等に相談の上、適切にご使用ください。
とろみ調整食品を使用することで、飲み込んだ飲食物が誤って気管に入り込むこと(誤嚥)を確実に防げるものではありません。

【お取り扱い状の注意】
粉のまま絶対に食べないでください。のどに詰まる恐れがあります。介護や介助の必要な方やお子様の手の届かないところに保管してください。
初めてとろみをつける方に
小冊子『初めてとろみをつける方に』
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長 菊谷武先生監修により、
初めてとろみをつける方に、とろみ調整食品の使い方のコツをわかりやすくご紹介しています。
(画像をクリックするとPDFが開きます。)

適したとろみのつけ方

とろみの強さは調整できる

とろみ調整食品の使用量によって、とろみの強さを調整できます。

使用量によってとろみの強さを調整できます
商品によって使用量・使用方法等が異なりますので、詳細は個別のパンフレット、詳細パッケージなどをご確認の上、ご使用ください。

強すぎるとろみには要注意!

(藤田保健衛生大学 客員教授 小島 千枝子先生にお聞きしました)
どのくらいの強さのとろみが適しているかは、その方の飲み込む能力によるため、とんかつソースくらいのどろっとしたとろみが良い場合もあれば、ポタージュスープ程度のサラッとしたとろみが良い場合もあり、その方に適したとろみの強さに調整することが大切です。
とろみ調整食品で飲み物をジャムのようなかたさにすると、べたつきが強くなり、口やのどに貼り付きやすいため、かえって飲み込みにくくなります。のどに残留しやすく、場合によっては窒息につながる危険性もあるので、強すぎるとろみは避けなければなりません。いつもつけているとろみが強すぎないか、是非一度見直してみてください。

適切なとろみをつけるポイント

1.コップやスプーンはいつも同じものを使う
いつものコップやスプーンを使う
2.とろみ調整食品は毎回すりきりで量る

同じスプーン1杯でも、すりきりと大盛りでは
すくえる量が大きく変わります。

毎回すりきりで量る

とろみがつきにくいときの対処法

必要以上にとろみ調整食品を入れると強いトロミになってしまいます
すぐにつかないと量が足りないのかなと思って必要以上にとろみ調整食品を加えてしまい、強いとろみになってしまう…というお声をよく伺います。

Q. とろみがすぐにつかないのですが何か原因はありますか。

A. 混ぜる時間が短い可能性があります。
30秒くらいは混ぜましょう。特に、冷たい飲み物の場合は長めに。
また、飲み物の種類や温度によってとろみがつくのが遅い場合があります。


とろみが安定するのに要する時間

Q. とろみがつきにくい飲み物にうまくとろみをつける方法はありますか。

A. 「二度混ぜ法」をおすすめします。
二度混ぜ法は、しっかりとろみがつき、一旦ついたとろみの強さも安定しています。
とろみ調整食品の使用量は水・お茶の場合と同じか、やや増やす程度でOKです。

  • とろみ調整食品を入れ30秒以上混ぜる
    とろみ調整食品を入れ30秒以上混ぜる
  • 2〜15分置く
    2〜15分置く
    (水を吸わせるための時間です)
  • 再度30〜60秒混ぜる
    再度30〜60秒混ぜる
二度混ぜ時に置く時間の目安

※1 牛乳・濃厚流動食品には専用のとろみ調整食品もあります(こちら牛乳・濃厚流動食品には専用のとろみ調整食品一覧へ
※2 濃厚流動食品の種類によっては、30分程度置いた方が良い場合があります。

【動画】とろみがつきにくい飲み物へのとろみのつけ方(トロミパワースマイルトロミパワースマイルの商品ページへ使用)
国立国際医療研究センター病院 藤谷 順子先生

国立研究開発法人
国立国際医療研究センター病院
リハビリテーション科医長
藤谷 順子先生

濃厚流動食品の半固形化・固形化について

胃ろう栄養の際は、胃食道逆流の予防、消化管通過と吸収の調整、注入時の時間短縮などを目的として半固形化します。経鼻の細い管用の商品もあります。口から食べる場合には、
液体栄養剤を誤嚥予防や目先の変化のためにムースやババロア状に固形化することがあります。
半固形化補助食品(濃厚流動食用)一覧半固形化補助食品の一覧ページへ

食事の姿勢

「飲み込みやすい食事」を摂るためには、調理形態の工夫とともに、姿勢の調整も大切です!

いすでの食事(座位)

いすでの食べやすい姿勢と食べにくい姿勢


ベッドでの食事(リクライニング位)

ベッドでの食べやすい姿勢と食べにくい姿勢

※上記は一例です。「食べやすい姿勢」には個人差がありますので、ご本人様に応じて調整ください。



飲み込みやすい姿勢は「やや前かがみ」
解除する側も注意が必要です!


参考:『写真とイラストですぐわかる!安全・やさしい介護術』橋本正明監修(西束社)、
『NSTで使える栄蓑アセスメント&ケア』足立香代子・小山広人編(学習研究社)、
『介護のための摂食・礫下障害の理解とケア』小澤公人編著(ナツメ社)、
『改訂版 図解かみにくい、 飲み込みにくい人の食事』藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)






災害時の備え

地震や台風などの災害はいつどこで起こるかわかりません。いざという時のために、普段から備えておくことが重要です。

非常時はこんなことに困る

災害の種類や規模・地域にもよりますが、被害が大きい場合はライフラインも壊滅状態となります。
電気は比較的早く復旧する可能性が高いと想定されるものの、ガスや水道の復旧作業には1週間以上の時間を要することが想定されています。また物流機能が停止し、食料の供給が滞る可能性があります。
そのため、水や熱源となるカセットコンロ、食品などの備えが日頃から必要です。
さらに交通状況等によっては通院できず、いつも服用している薬が手に入らない場合もあるので、お薬手帳のコピーと薬の予備を準備しておきましょう。

【備蓄しておくと良いもの(例)】
  • 飲料水
  • 食料品
  • 衛生用品(ペーパー・袋・ウエットティッシュ・簡易トレイ等)
  • お薬手帳のコピー
  • 懐中電灯/電池
  • モバイルバッテリー/ラジオ
  • 軍手
  • カセットコンロ/ボンベ など
備蓄しておくと良いもの 飲料水、食料品、懐中電灯、カセットコンロなど

いつどこで起こるかわからない災害。備蓄品のチェックリストを作成し、日頃から備えておくことが大切です。

「ローリングストック」をして備えよう

災害時に支給される食事は一般的な人が生き延びるのに必要なもので構成されています。
おにぎりやパン・乾パン、カップ麺、バナナなど。よく噛む必要があって、口の中でバラけやすく飲み込みづらいものが多いです。やわらかさや具材の大きさには配慮されていません。
ムセるのが怖い・食べづらいと言って、食べない状態が続くと低栄養や脱水になりかねません。
きちんと食事ができるよう、召し上がる方の状態に合わせたやわらかさや形状の食品を備蓄するなどの対策を日頃から立てておくことが大切です。

そこでおすすめしたいのが「ローリングストック」という方法です。
普段食べているものを少し多めに買っておき、食べたら食べた分だけ買い足し、常に一定量の食品を家に備蓄しておく方法です。
この方法であれば、賞味期限が長期間確保された食品でなくても備蓄しておくことができます。

ローリングストックは「備える」「食べる」「買い足す」で回転させながら備えること

ローリングストック

備えのメリット

買い忘れを防げる

いつもの商品が非常食代わりになる

備えのポイント

少なくとも2週間分の備えがあると安心。

調理できるように水、鍋、カセットコンロ、ガスボンベの用意も忘れずに。

備蓄品の目安として、食べ物・飲み物ともに最低3日分(9食・9ℓ)といわれています。
介護食品に限らず一般の食品も同じ方法で備蓄できるので、家族の分も同様にして、日頃から備蓄するように心掛けましょう。

備えておきたい「介護食品・高栄養食品」

お湯があれば食べられる

カセットコンロ等でお湯を沸かせられれば、容器ごと湯せんで温められます。
商品によっては温めずに召し上がることもできます。

そのまま食べられる

エネルギーやたんぱく質などの栄養素、水分が不足している時の補食に便利です。

液体にとろみをつける

サラサラした液体が飲みづらい方は必須です。
ご利用にはコップとかき混ぜる為のスプーン等が必要です。

とろみ調整食品
とろみ調整食品

参考:『要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド』農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室
一般社団法人 日本気象協会 「知る防災」サイト https://tenki.jp/bousai/knowledge/stock/日本気象協会 「知る防災」サイトへ


栄養価計算がラクチン!無料でご利用できます!

無料 日々の食事管理に! ヘルシーネットワークで栄養計算 >