食事療法をはじめる前に
食事のポイント
腎臓のはたらきが落ちた時の食事のポイント
たんぱく質とりすぎない
とりすぎると腎臓に負担がかかります。
塩分1日6g未満※を目標に
とりすぎるとむくみや高血圧などの原因となり
腎臓をさらに傷めます。
※高血圧及び慢性腎臓病の重症化予防のための量
(日本人の食事摂取基準2020年版)
カリウム・リンとりすぎない
とりすぎると体の中に溜まり
不整脈や骨が弱るなどの原因となります。
エネルギーしっかりとる
たんぱく質を抑える分
糖質と脂質でエネルギーを補いましょう。
※食事療法は医師・管理栄養士などにご相談ください。
参考 : 『腎臓病の人のための食品成分表[ポケット版]』貴堂明世監修(主婦の友社)、『腎臓病の食品早わかり第3版』牧野直子監修(女子栄養大学出版部)
食事療法の第一歩は正確な計量から
腎臓病の食事療法には、正確さが不可欠。「量る」ということが非常に重要です。
量った食材は全てメモをとり、後で栄養計算をする。最初は大変と感じますが、正確に量り、書き溜めておくことで、自分の食事状況を常に把握することができます。これにより食事に対する認識が深まり、安心して食事をいただくことができます。
普段から計量していると、目分量でおおよその食材の重さがわかるようになります。目分量がわかると、自分が食べてもいい量が把握できるので、外食も怖がることなく楽しめます。とはいえ、目分量は正確さに欠けるので、計量できる環境にあるときは必ず計量するように習慣づけましょう。
食事療法がうまくいくか否かは、しっかりと計量できているかどうかで大きく変わります!
食事療法の必須計量器具3点
●計量スプーン
大さじ15ml、小さじ5mlが基本。ミニ2.5ml等もあります。
●計量カップ
一般的なもので200mlタイプ。
500mlや1Lの大容量タイプもあります。
●量り
デジタルとアナログのタイプがあります。
計量スプーン、計量カップを使うときの注意点!
レシピ本などの分量は大抵、「大さじ1」や「1カップ」と記載されています。簡単に取り分けられるので便利ですが、同じ1さじ・1カップでも調味料や食材によって重さが異なるので、ご注意を!「必要量を取り分けた後は必ず量りで計量する」ことさえ守れば、正確な使用量が把握できます! 食品成分表等には、1さじ・1カップ当りの調昧料の重さが一覧で掲載されているので、活用するとより便利ですよ!
デジタル量りの種類
1g単位で量れるものが一般的。0.5gや0.1g単位で量れるタイプもあります。
外出先でも使い易い、持ち運びに便利なポケットサイズ。最大計量120gや200g等。
アナログ量りの種類
最小目盛5g単位のものが一般的。最大計量1kg又は2kg等。
持ち運びに便利なポケットサイズ。最大計量1kgのものもあり。
食事療法には、細かい数値まで正確に量れるデジタル量りが向いています。
調味料は1g以下で使用することも多いので、0.1g単位で量れるタイプがあると、より正確に計量できるのでとても便利です。
一般的な食品成分表の見方
成分表の数値は、すべて可食部100g当りの栄養価が書かれています。
正しい栄養計算
食品成分表に載っている食品の栄養価は、すべて可食部100g当りで書かれているため、計算式は次の通りです。
成分表の値(=可食部100g 当りの値)× 食べたg÷100
例:ごはん180gの場合(通常、〈水稲めし〉精白米-うるち米を見る)
エネルギー(100g当り):156kcal
→ 156kcal×180g÷100=280.8≒280kcal
たんぱく質(100g当り):2.5g
→ 2.5g×180g÷100=4.5g
「こめ」の注意点
こめには「穀粒」と「めし」があります。
この2つを間違えると計算値が大きくズレてしまいます。
計量時のこめの状態でどちらを見るかが変わります。
炊飯前(米粒の状態):穀粒
炊飯後(ごはんの状態):めし
食品名について
食品の名前って、実はひとつじゃないことがあります。例えば、長ねぎが(根深ねぎ)、高野豆腐は(凍り豆腐)など…。身近に使っている食品名がない場合は別名で記載されていることがあるので、「備考欄」を確認してみてください。また、一つの食品の中でも、さらに細かく種類が分かれているものもあり、例えば砂糖は「砂糖類」の中の「上白糖」に、塩は「精製塩」にあたります。
廃棄率について
「廃棄率」とは、食品の食べられない部分、捨ててしまう部分の割合のことです。例えば、オレンジの皮、魚の骨、玉ネギの皮など。
参考文献:日本食品標準成分表2020年版(八訂)